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レスキュー前の猫たちの様子→(写真)
レスキュー直後の猫たちの様子→(写真)


「ねりま猫」

2Kのアパートに40頭…多頭飼育崩壊寸前! 今ならまだ間に合うのです! あなたの力を貸してください! この子たちの命を守りたい…

行政にも、親戚にも届かなかったSOS!

アパート退去勧告もつきつけられて

それでも、猫たちの幸せを願う飼い主夫妻




たった4年で40頭に増えた猫たち

開かれた鉄の扉の向こうから、まんまるい黄色の瞳がいくつも凝視する。

猫、猫、猫、猫、猫…!!!

むっと鼻を突く猫の排泄物のにおい、一瞬遅れて、両目と喉の奥にアンモニアの刺激臭が突き刺さる。

都心からほんの数駅。駅前の商店街もほど近い、鉄筋コンクリートの古いアパートの一室。



「まさかこんなに増えるなんて、思いもしなかったんです」

60歳代の飼い主夫妻は、途方にくれた表情で力なくそう繰り返しました。

神経を病み、健康を害してそれまでの商売をあきらめ、わずかな収入と生活保護に頼る飼い主夫妻に、週14キロもの猫の餌代が重くのしかかっているのです。

どうにかこうにか、飢えさせずにおくのがせいいっぱい。


猫のトイレも満足においてやれない。

猫たちは、ところかまわず排泄し、掃除はおいつかない。

壁紙はとうにずたずたにはがれ、ふすまは廃屋のそれと見まがうばかり。

畳は藁屑を敷いたよう。押入れの布団はもう数ケ月出された形跡がない。

猫の尿を含んで、床板が塩を吹いたように白くなっている。じくじくと湿ったところはいまにも腐って落ちそうになっている…。

始まりは、たった4頭の子猫だったのだといいます。

それが、わずか4年の間に、狭い室内を埋め尽くすほどに増えてしまった。

ただただ、避妊・去勢という「飼い主の義務」を、怠ったばかりに。

「田舎では、猫なんて数年に1度しか子を産まないものだと思っていたから…」

まだ子猫と呼んでもいいような、生後1年に満たない若い猫が、何頭も同時に妊娠してつぎつぎと子猫を産みつづけているのです。



このままでは、この子たちは「処分」もありえる。。


ハッと気がついた時には、どうすることもできなくなっていたとご夫妻は話します。

「自分たちの世話もできないのに、なぜ猫の世話をするんだ」

助けを求める夫妻に、親戚からそんな冷たい言葉だけが投げかけられたことを聞き、私たちもなんともいえない気持でした。


夫妻で里親探しもしてみたそうですが、わずかに1〜2頭の子猫が巣立って行っただけだったのだそうです。近所と言っても都会のことで、付き合いは限られます。

都の愛護センターにも、思いあまって引き取りを依頼したと聞きました。

しかし、愛護センターの担当者には、

「猫は引き取りをしておりません。飼い主自身で持ち込んでください」

と断られてしまったそうです。

猫たちを運ぶ手段を持たない飼い主夫妻は、そこであきらめざるをえなかった。


飼い主夫妻の生活を見守る福祉担当者にも話を聞きましたが、どうすれば夫妻を助けられるのか、まったくわからなかったと、この方も途方にくれていました。

ひとえに、行政同士の横のつながりがなかったためなのです。

なぜ? これだけの人がいる、東京のど真ん中で。なぜ誰も助けてくれないのでしょうか!

そして、日一日と室内の衛生状態は悪くなっていきました。


遠方に嫁いだ娘さんが、実家に帰ってきて初めて、ご両親の陥った事態の深刻さに気づかれました。あわてて、福祉担当者とともになんとかしようと奔走したそうですが、娘さん自身もまた、お子さんを産んだばかり。さらに嫁ぎ先の地で、義理のご両親の介護もかかえ、思うように身動きがとれないことにあせっておられました。

「誰か、猫たちと両親を助けて…!!」

娘さんは、かろうじてネットを通じて親しい友人に助けを求めました。


こうして、7月初旬、この夫妻と、猫たちの悲痛な叫びが、私たちに届いたのです。




猫たちを幸せにできれば…飼い主夫妻の決断


猫とはもともときれい好きな動物です。

落ち着いて用を足せるトイレがない。それだけでも、猫たちのストレスは想像を絶します。

どの子も、見知らぬ侵入者におびえた顔のまま、箪笥の上やボロボロの段ボールの中などに陣取り、あまり動こうとはしません。


ひどく飢えているというほどではないが、みな毛づやが悪く、痩せていて栄養状態はよくないことは、ひとめでわかりました。

なにより、家の中に飼われている子のはずなのに、荒んだ顔をしているのです。

猫風邪にかかっているのでしょう、片目が目やにでふさがっている子が数匹います。

生まれたばかりの子猫は、動きが鈍く、育つかどうか心配されるような状態です。

母猫はそんな子猫をすばやく後ろにかばい、カーッと威嚇の声を放ってくるのです。


猫たちもギリギリなのです。

もし、これ以上悪くなれば、病気が蔓延してバタバタと猫たちは死んでいくのではないか。

いや、明日にでも、そんな事態が起こるのではないか。

見ていると胸が苦しくなってきます。


「みんなおとなしくていい子なんですよ。どうにか、幸せになってほしい。もらってくれる人があれば、よろこんで手放します。みな、かわいいのだけれども…」

手近の一頭をいとおしげになでながら、飼い主さんが声を詰まらせていました。


「ボランティアが入れば、プライバシーもこうしてさらされてしまいます。より多くの方の助けをいただくには、ネットで写真も公開する必要があります。大丈夫ですか?」

私たちの問いかけに、


「それもしかたがないと思っています。どうぞお願いいたします」

飼い主夫妻は、頭を下げられました。

私たちの親といっても不思議ではないお年の方の言葉に、胸が詰まりました。







無責任に飼えば、誰にでも起こりうる恐ろしいこと


「これは、この夫妻だけの特異な事態ではない。誰にでも、起こりうる状態なんだ!」

話を聞きながら、私たちはその思いを強く持ちました。

「大丈夫だろう」という、ほんのちょっとした油断。

「知らない」ということの恐ろしさ。

絶対、他人ごとだと思わないでいただきたい。心から、私たちはそう思っているのです。

「もしかしたら、あなたのお隣でも起こっているかもしれない。ご夫妻は、あなたのご両親であっても、おかしくはないんですよ」そう申し上げたい。

ごくごく、普通のご家庭なのです。

猫が異常に繁殖して家じゅうを占拠していることを除けば。

ごくごく、普通のやさしい人たちなのです。

どんなに生活に困っていても、猫たちの命を断つ決断など、できるはずもない。

でも、目の前に広がっている状況は、ごく普通の日常であってはならないものでした。

今なら、まだ間に合う…! 

私たちは、このご夫妻をサポートすることを決めました。

どうか、猫たちに、そして、このご夫妻に、助けの手を差し伸べてください。

今だから、猫たちを助けることができます。


どうか、猫たちに、そして、このご夫妻に、助けの手を差し伸べてください。

今だから、猫たちを助けることができます。



一刻も早く・・・・





飼い主夫妻は、心身ともに健康とはいえない状態です。

近々、ご主人のほうが、持病の療養のため入院する予定もあるそうです。

そうなれば、収入が断たれ、猫たちは飢えるほかなくなります。

実は、このアパートは、動物飼育が許可されていません。

大家さんはこの状態を聞き知って、近隣からのニオイの苦情も受けているそうで、猫たちをどうにかしなければ、退去を、という言葉が出ているのだそうです。

いつ、最後通牒を突きつけられてもおかしくないのです。

一刻も早い解決を、目指さなければなりません!



どうか、あなたの力を貸し下さい。
お願いいたします!





文:亮子


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